Back to Blog

迅速開発とは。

迅速開発とは。


梁 振碩(ヤン・ジンソク)
「あたたかいデジタル」を掲げる、創業者である私の名前です。

「振(ジン)」と「碩(ソク)」。

この二つの漢字には、
「名を広く世に広め、意味のある仕事を成してほしい」という
父の願いが込められています。

この名に込められたメッセージは、
時を経て私自身の指針となり、
やがて一つのサービスへと結実しました。

「ジンソク開発」は、
私、梁振碩が日本での長年の経験をもとに企画した開発サービスです。

私は韓国出身ですが、2026年現在、日本での生活は24年を数えます。

私の名である「ジンソク」は、日本語では「じんそく」と発音され、
偶然にも日本語の「迅速(スピーディー)」と同じ響きを持ちます。

韓国語の名前でありながら、日本語では「迅速な開発」を連想させる。
「ジンソク開発」は、そんな不思議な縁(えにし)から生まれた、
皆さまに覚えていただきやすいサービス名となりました。

ジンソク開発は、以下の3つの価値を大切にしています。

• 迅速かつ的確な対応
• 不要な工程を徹底的に排除した開発
• 責任感を持った、信頼できる実行力

これらを通じて、私たちは「人に寄り添う技術体験」を提供しています。

▼まずは動画で概要をチェック
「ジンソク開発」が何を大事にしているのかを、短い動画にまとめました。
文章でじっくり読む前に、全体の流れを一度つかむのに使ってください。

私はこれまで約30年にわたり、
韓国・日本・アメリカの様々な企業プロジェクトに携わり、
数多くの成功と失敗を経験してきました。

その歩みの中で、一つの確かな事実に気づきました。

新しいプロジェクトや製品、サービスを形にする際、
失敗のリスクを最小限に抑えるために最も重要なのは、
「できるだけ早く市場に出し、検証すること」でした。

こうした実体験に基づく問題意識に、
父が授けてくれた私の名「ジンソク」と、
私がIT業界で追求してきた
「失敗を回避するための開発のあり方」を重ね合わせ、
「ジンソク開発(迅速開発)」というサービスを立ち上げました。

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

果たして
「速く開発すること」は、
本当にプロジェクトの成功に直結するのでしょうか。

まず、結論から申し上げます。

「速い開発」は、
成功にたどり着くまでの時間とコストを
確実に短縮します。

ここで、一つの問いを投げかけてみたいと思います。

私たちが呼ぶ「開発(Development)」とは、
IT業界において一体何を意味するのでしょうか。

一般的に「開発」という言葉は、
技術の実装、システム構築、サービス制作など、
非常に広義に使われています。

こうした定義は、
IT用語集などでも確認できる「正解」の一つでしょう。

しかし、私は「開発」という営みを、
それらとは少し異なる視点で捉えたいと考えています。

私が考える「開発」とは、単なるシステムの構築ではありません。

• ある領域で困っている人の「課題」を深く理解し
• その課題を解決するための「手段」を創り出し
• の結果として「価値」を生み、利益へと繋げていく

この一連のプロセスのことだと考えています。

では、この「開発」には、
いったい誰が関わり、どのような流れで進み、
そして「いつ」始まるのでしょうか。

一見すると複雑に見えるこのプロセスを、
ここからは「一本の映画」に例えて、
分かりやすくお話ししていきましょう。


開発という一本の映画。
この物語を構成する重要な登場人物は、三人います。

登場人物(キャスト)

  1. 課題当事者: 現場で問題に直面し、その影響によって不便さや非効率を感じている人。
  2. 問題解決者(プロデューサー): 課題当事者の状況を深く理解し、ITを活用して解決できるという仮説を立てる人。
  3. 開発者(ディレクター): 問題解決者の仮説を技術的に解釈し、業務の中で機能する成果物へと落とし込む人。

そして、この映画を動かす「小道具(重要な要素)」は四つです。

小道具(キーアイテム)

  1. 課題: 課題当事者を悩ませている、問題の本質そのもの。
  2. 仮説: 問題解決者が「この方向性で解決できる」と考えた解決の糸口。
  3. 要件定義: 問題解決者の仮説をもとに、開発者が現実的に実装可能な形へと整理したドキュメント。
  4. ソリューション: 要件定義に基づき、開発者が実際に形として実装した問題解決策。
One Page for Development

この「開発」という映画がハッピーエンド(=プロジェクト成功)で終わるためには、いくつかの重要な前提条件が揃っている必要があります。

1. 課題の本質理解と現実的な仮説設定:
問題解決者が問題の本質を正しく理解し、現実的な仮説を立てていること

2.正確な要件定義:
開発者がその仮説を正しく理解し、実装可能な形で要件定義を行っていること。

3. 確実な実装力:
開発者が要件定義に沿った成果物を、実際に作り上げることができること。

第一の前提条件:問題の本質を正しく理解できているか?

まずは、最初の前提条件から掘り下げていきましょう。

それは、
「問題解決者が問題の本質を正しく捉え、
的確な仮説を立てられているか」という点です。

この前提が成り立つためには、
次の関係が成立していなければなりません。

当事者が実際に抱えている問題 = 問題解決者が認識している問題

一見すると当たり前のように思えることですが、
実際のプロジェクトにおいて、
この両者に「ズレ」が生じているケースは想像以上に多く見受けられます。

ここで、私たちはもう一歩踏み込んで考える必要があります。

当事者本人は、
自身が抱えている問題の本質を、
本当に正しく理解できているのでしょうか。

この問いの答えを探るために、
私が実際に経験した事例をご紹介します。


エピソード1:遅いと思っていたが、本質は「判断の迷い」にあった

状況

ある中小企業の物流担当者Aさんは、慢性的な残業に悩まされていました。
Aさんは私たちにこう訴えます。

うちの問題は、とにかくシステムが遅いことです。
画面表示も遅いし、処理速度にストレスが溜まります。

そのためAさんは、

もっと速いシステム、高性能なサーバー、最新技術の導入が必要です。

表層的な課題(課題当事者が認識していた問題)

  • システムの処理速度が遅い
  • そのせいで業務に時間がかかる

現場の観察から見えた真実

問題解決者や開発者が実際に現場の業務フローを詳細に確認したところ、次のような状況が見えてきました。

  • 二重入力の常態化:同じ情報を複数の画面で何度も入力している
  • 判断基準の属人化:どのボタンを押すべきか、担当者ごとに異なる記憶に頼っている
  • リカバリ負荷の増大:一度ミスをすると、最初からやり直さなければならない業務構造

問題の本質(真に解決すべきこと)

  • 問題は「システムの処理速度」ではなく、「業務フローが整理されていないこと」
  • システムが遅いのではなく、「人がその都度、判断し迷わなければならない構造」が、現場の時間を奪っていた

結果

処理速度だけを向上させた新しいシステムを導入しましたが、
残業時間はほとんど減りませんでした。

課題当事者は「遅さ」を問題だと捉えていましたが、
実際の問題は「判断や迷いが多く発生する業務構造」にあったのです。
It's wasn't slow - It was confusing

エピソード2:人手不足だと思っていたが、実際は“判断基準がなかった”

状況

スタートアップ企業の代表B様は、常にこう口にされていました。

うちはとにかく人が足りません。あと二人、優秀な人材がいれば、すべてがスムーズに回るはずなのですが……。

そのためBさんが選ぶ対策は、いつも似たようなものでした。
採用枠の拡大、アウトソーシングの活用、そしてチームの増員です。

表層的な課題(課題当事者が認識していた問題)

  • 業務量が多い
  • 人手が足りない。
  • その結果、ミスが多発

実際の現場をよく見てみると

同じ業務を行っているにもかかわらず、
現場では次のような状態が続いていました。

  • 判断基準の不一致: 担当者ごとに判断基準がバラバラ
  • ルールの不在: 「これはOK/これはNG」という明確な線引きがない
  • 対応事例の属人化: 過去の事例が整理されておらず、毎回ゼロから判断している

問題の本質

  • 問題は人手不足ではなく
  • 判断基準や業務プロセスが整理されていないこと

結果

人を増やしたものの、

  • 教育にかかる時間は増え
  • ミスは繰り返され
  • 代表であるBさんの負担は、むしろ大きくなっていきました

課題当事者は「人が足りない」と感じていましたが、
本当の問題は、判断を仕組みとして整理・共有できていない業務構造にあったのです。
We thought we lacked people- But we lacked standards

結局、何が難しいのか?

課題当事者は、現場で真っ先に痛みを感じている存在です。
しかし、その一方で、
その人が常に問題の本質を正確に理解しているとは限りません。

だからこそ、開発は
常にこの問いから始まる必要があります。

今感じている不便さは、本当に『問題の本質』なのだろうか。

この問いが抜けたまま進む開発は、
どれだけ真面目に取り組んでも、
どれだけ高い技術力があっても、
期待した結果につながりにくいのが現実です。

ここで、本題に戻りましょう。

「問題解決者が問題の本質を理解し、仮説を立てる」
言葉にすると非常にシンプルですが
実際には決して簡単なことではありません。

理由ははっきりしています。
現実のプロジェクトでは、
課題当事者自身が、
自ら抱えている問題の本質を
正確に把握できていないケースが多いからです。

そのため、問題解決者は
当事者の言葉をそのまま受け取るだけでは不十分です。
実際の行動や業務の流れを観察し、
その中で繰り返されている
「迷い」や「判断のポイント」を見つける必要があります。

そうしたプロセスを経て、はじめて
問題の本質が見えてきます。
そしてその上に、
現実に耐えうる仮説を立てることができるのです。

結論として、
問題の本質を正しく捉えた仮説をつくることは、
思った以上に難しい作業です。
そして、この段階の精度こそが、
開発の成否を大きく左右します


第二の前提条件:仮説は正しく伝わっているか

次に、二つ目の前提条件を見ていきましょう。

開発者が、問題解決者の仮説を正しく理解し、それを要件定義へと的確に落とし込めているかという点です。

この前提が成り立つためには、
次の関係が成立している必要があります。

問題解決者の仮説にもとづく解決策の具体的内容 = 開発者が作成する要件定義

しかし、この図式が成り立つためには、いくつかの条件が同時に満たされている必要があります。

  • 問題解決者の仮説が妥当であること
  • 問題解決者が提示する解決策が、具体的で明確であること
  • 開発者がその説明をもとに、実装可能なレベルまで要件を落とし込めること

では、現実はどうでしょうか。

  • 問題解決者の仮説は、常に正しいのでしょうか。
  • 提示される解決策は、十分に明確でしょうか。
  • 開発者は、誰が見ても誤解のない要件定義を作れているでしょうか。

実際の現場では、これらすべてが揃うケースは決して多くありません。

これらの問いに答えるために、
私が実際に経験したお客様の事例をもとに、
現場のプロジェクトで何が起きているのかを見ていきます。


エピソード1:課題の捉え方は合っていたが、原因は違っていた

問題解決者の仮説は、
果たしていつも正しいのでしょうか。

ある製造業の役員は、こう話しました。

うちの工程システムはとにかく複雑です。
そのせいで、現場でのミスが後を絶たないんです。

この発言から導かれた仮説は、一見すると明確でした。

システムが複雑なのだから、
画面をもっとシンプルにすればいい。

この仮説をもとに、プロジェクトは次の方向で進められました。

  • 画面数を減らす
  • ボタンを統合する
  • UXを整理し、見た目を分かりやすくする

しかし、結果は期待したものとは異なりました。
ミスは減らず、
現場からの不満も収まりませんでした。

さらに現場をよく見てみると
問題は、画面の複雑さそのものではありませんでした。

問題の本質

  • 工程ごとに例外ルールが非常に多い
  • そのルールが文書として整理されていない
  • 熟練者だけが、頭の中で判断して処理している業務構造

つまり、
システムが複雑だったのではなく、
人の記憶や経験に依存せざるを得ない構造そのものが問題だったのです。

整理すると
仮説としては一見もっともらしく見えたものの、
問題の本質的な原因を検証しきれていない不完全な仮説だったのです。

現場で直面する本当の難しさ

問題解決者の仮説は、論理的に正しく見えても実際の原因とズレているケースが非常に多い
The problem looked right - But the cause was wrong

エピソード2:分かるけど……で、結局何をすればよいのですか。

問題解決者が提示した解決策は、
果たして十分に明確だったのでしょうか。

あるサービス企画担当者は、開発者に次のように説明しました。

この機能は、
もう少し“スマート”に処理できるといいですね。
ユーザーがあまり考えなくて済むように。

会議の場では、
全員がうなずきました。
方向性としては、確かに間違っていません。

しかし、会議が終わったあと、
開発者は、その場で立ち止まることになります。

  • 「スマート」とは、具体的に何を指すのか
  • どんな条件で自動処理されるのか
  • 例外はどう扱うのか
  • 今までと、何がどう変わるのか

いずれも明確に定義されていなかったのです。

企画担当者は、言いました。

言わなくても分かると思っていました。

一方、開発者はこう返します。

実装できるだけの情報がありません。

結果として、
開発者は、自分なりの解釈にもとづいて機能を実装しました。

しかし、完成したものを見た問題解決者は、こう評価します。

これは、私が考えていた“スマート”とは違いますね。

現場で直面する本当の難しさ

  • 解決策は“方向性”としては共有されている
  • しかし、実装できるレベルの具体性がない
  • その結果、解釈のズレがそのまま成果物のズレになる
I Understand… But What Do You Actually Want Me to Do?

エピソード3:要件は整理した。しかし、それは“正解”ではなかった

開発者は、
果たして明確な要件定義をやり切れるのでしょうか。

あるプロジェクトでのことです。
問題解決者は、説明資料をかなり入念に準備していました。

  • スライド50枚
  • 業務フローを整理した図
  • 期待される効果の整理

開発者は、それらの資料をもとに
要件定義書を作成しました。

文書自体は整理されており、
機能一覧も漏れなく記載されていました。

しかし、開発が始まると
すぐに問題が表面化し始めます。

  • このケースは、なぜ含まれていないんですか?
  • 現場では、こういう使い方はしません。
  • これをシステム化すると、かえって手間が増えます。

開発者はこう言います。

資料に書かれていないことまでは、分かりません。

それに対して、問題解決者はこう返します。

当然、こうなるものだと思っていました。

ここで明らかになった現実は、次の点でした。
開発者は、
説明された内容を要件として整理することはできても、

  • 説明されていない暗黙の前提
  • 文書には現れない現場の文脈
  • 多数の例外の中で、何を優先すべきかという判断

こうした要素までを自ら判断し、
「正しい要件」として完成させることは、
現実的にはほぼ不可能だったのです。

現場で直面する本当の難しさ

  • 要件定義は、単なる文書作成ではなく
  • 解釈と判断を、何度も繰り返すプロセスである
I wrote the reqirements - But they weren't the answer

結局、何が難しいのか?

現実のプロジェクトでは、
「開発者が問題解決者の仮説を理解し、要件定義を行う」過程で、
次の3つが同時に起きているケースが非常に多く見られます。

  1. 問題解決者の仮説は、
    一部は合っていても、重要な前提が誤っているケースが多い
  2. 解決策の説明は、
    方向性は示されているが、実装単位では不明確
  3. 開発者の要件定義は、
    説明された範囲内では整理できても、それが「正解」を保証するとは限らない

その結果、実際の現場で起きているのは、  
「誰かが仕事をうまくできなかった」という話ではなく、

仮説 → 説明 → 要件定義  

このつながりそのものが不安定である、  

という構造的な課題を抱えています。


第三の前提条件:要件どおりに実装できるのか

最後に、
「開発者は、要件定義どおりの成果物を本当に作れるのか」
という、三つ目の前提条件について見ていきましょう。

まず、現実的な状況から共有します。

要件定義が具体的で、
実装可能なレベルまで明確に整理されていれば、
経験豊富な開発者の中には、
短期間で成果物を形にしてしまう、
いわゆる「優秀な開発者」も確かに存在します。

しかし、その一方で、こうした開発者は、

  • コスト面での負担が大きく、
  • 一つのプロジェクトに継続して関わることが難しい場合がほとんどです。

これは、IT業界全体が抱える構造的な課題でもあります。

その結果、実際の現場では、

  • シニア開発者が全体の方針や設計を行い、
  • その指示のもとでミドルクラス・ジュニアクラスの開発者が実装を担当する

という体制が一般的になっています。

では、このような構造の中で、
現場の開発は実際にどのように進められているのでしょうか。

ここからは、
開発の現場で実際に起きている流れを、
もう少し具体的に見ていきます。


エピソード1:要件どおり作ったのに、なぜ結果が違うのか?

要件定義はすでに完了していました。
ドキュメントには、機能一覧、画面遷移、処理条件まで整理されており、
プロジェクトは計画どおり、開発フェーズに入りました。

問題の発生

開発が中盤を過ぎ、QA(品質確認)の段階で、
問題解決者が次のように指摘します。

要件どおりに作っているのは分かります。
ただ、実際に想定していた使い方とは少し違います。

これに対して、開発者はこう答えます。

要件書の12ページに書かれている条件を、そのまま実装しています。

要件書をあらためて確認してみても、

  • 記載内容に誤りはなく
  • 機能の抜け漏れも見当たらず
  • すべての項目は要件定義書に含まれていました

しかし、結果は違いました。

現場では一回で終わっていた作業が、
システムでは段階が増え、クリック数が増えました。

さらに、例外対応として「仮処理」で進めたい場面でも、  
システムは常に結論の入力を求める構造になっていました。

明らかになった問題の本質

要件定義は、
「何を作るか」については定義していましたが、
「どのようなリズムや文脈で使われるか」までは
十分に反映できていませんでした。

つまり、

  • 要件自体は正しかった
  • しかし、現場で実際に体感されている使い勝手や業務の流れは、  実装には反映されていない状態でした。

現場で直面する本当の難しさ

  • 開発者は、要件どおりに誠実に実装している
  • 問題解決者は、「意図と違う」と感じてしまう

その結果、
誰も間違ってはいないのに、
誰も満足できない成果物が生まれてしまいます。
We built exactly what was written — but not what was meant.

エピソード2:同じ要件なのに、なぜ人によって結果が違うのか?

要件定義は明確に整理されています。
シニア開発者が全体構造を設計し、
実装はミドル・ジュニア開発者が分担して進めています。

問題の発生

統合の段階で、想定外の事態が起きました。

  • 機能Aと機能Bで、想定しているデータ形式が一致していない
  • 画面ごとに、同じ状態を異なる方法で処理している
  • 同じルールだと思っていた部分が、開発者ごとに微妙に異なる解釈になっていた

問題解決者は、こう問いかけます。

なぜ画面ごとに動きが違うのですか?

これに対し、シニア開発者は答えます。

要件書には、ここまでしか書かれていません。
細かい判断は、それぞれの実装判断に任せました。

一方で、ジュニア開発者はこう話します。

私は、このやり方のほうが合理的だと思いました。

明らかになった問題の本質

要件定義は、
必ずしも「唯一の正解」を保証するものではありません。

特に、

  • 表現があいまいな部分
  • 優先順位が整理されていない条件
  • 例外処理の判断基準が示されていない箇所

こうした要素は、
実装段階で、人によって異なる判断が生まれやすくなります。

現場で直面する本当の難しさ

  • シニア開発者は、「全体を理解している」と考えている
  • ジュニア開発者は、「自分の担当範囲」だけを見て判断する
  • その結果、システムは一つでも、その中にある考え方は複数存在する状態になる
Same Requirements — Different Results

結局、何が難しいのか?

これまでの二つのエピソードから分かるのは、
開発者が要件定義どおりに成果物を作る、
という行為そのものが、
現場では決して簡単ではないということです。

結論として、
実際のプロジェクトで起きている問題は、
「誰かが仕事を間違えた」という話ではありません。

  • 実装は、単なるコーディング作業ではなく
  • 解釈・判断・選択を繰り返すプロセスであり
  • 特にチーム開発では、要件に残された「余白」が、そのままリスクになります。

ここまで、
この「映画」がハッピーエンドを迎えるために必要な
前提条件を整理してきました。

1. 問題解決者が、問題の本質を理解し、仮説を立てていること

2. 開発者が、その仮説を正しく理解し、要件定義を行っていること

3. 開発者が、要件定義どおりの成果物を実装できること

そして各段階ごとに、その前提条件を満たすことが、
現実にはどれほど難しいのかを、
具体的な事例を通して見てきました。

それでは、問いはここに戻ります。

これほど多くの難しい条件がある中で、  
果たして開発をハッピーエンドで終わらせることは、  
本当に不可能なのでしょうか。

もう少し踏み込んで言えば
開発を成功させるために、  
私たちは何を、どのように変える必要があるのでしょうか。


多くのIT企業やプロジェクトの現場では、
経験豊富な開発者であっても、
最終的に同じ壁に突き当たることが少なくありません。

問題も理解した。
方向性も合意した。
ドキュメントも十分に作った。
それなのに、なぜ結果はどこかズレてしまうのか。

この問いに対する、
現場で選ばれてきた現実的な答えがあります。

それが、MVPです。

MVPとは、Minimum Viable Product、
つまり「最小限の価値を持つ成果物」を意味します。

ただし、現場で使われているMVPは、
単なる「小さなプロダクト」を指すものではありません。

MVPは、

  • アイデアを検証するための実験ツールであり
  • 人それぞれの考え方の違いを可視化する鏡であり
  • 言葉だけでは伝わらなかった部分を、
    目に見える形として共有するためのコミュニケーションの道具です。

開発の本質は「制作」ではなく「整列」

開発という仕事を、
もう少し正直に言うと、
その本質はコーディングそのものではありません。

人と人の考えを、少しずつ揃えていくプロセスに近いものです。

  • 課題当事者が感じている痛み
  • 問題解決者が立てた仮説
  • 開発者が理解した解決方法

これらが、最初から完全に一致することは、ほとんどありません。

むしろ、現実はこうです。

  • 話を聞いたときは、分かったつもりだった
  • 実物を見ると、思っていたものと違う
  • それぞれ正しいことを言っているのに、結果はズレている

こうした混乱は、
誰かの能力不足が原因ではありません。

開発というそのものが、
もともとそうした構造を持っているからです。


だからMVPは「小さな成果物」ではなく「対話の舞台」

日本の開発現場では、
最初に作る成果物を
「叩き台(たたきだい)」 と呼びます。

文字どおり、
置いて、叩いて、直すための初稿です。

MVPは、まさにこの叩き台です。

  • 指示する側は、
    「自分が考えていた方向性は、本当にこれで合っているのか」を確認できる
  • 実装する側は、「どこまでが自分の判断で、どこからが誤解なのか」を明確にできる

文書だけでは見えなかった違いが、
形になった瞬間、はっきりと表に出ます。。

まるで、
まな板の上に材料を置き、
少しずつ叩きながら形を整えていくように、
MVPという成果物を間に置くことで、
初めて次のような問いが成立します。

  1. この仮説は、本当に問題の本質なのか。
  2. この考え方は、現実の業務で実際に機能するか。
  3. 開発者が誤解なく実装できるほど、具体的か。
  4. 同じ説明を聞いて、誰が判断しても同じ結論にたどり着けるか。

これらに、
言葉ではなく「目の前のもの」で答える。
それがMVPの役割です。


「速い開発」とは、早く作ることではない
「速い開発」とは、早く“同じ認識になること”です。

迅速開発が考える「速い開発」は、
残業を減らそうという話でも、
雑に作ろうという話でもありません。

迅速開発が言う速い開発とは、

• 早く成果物を作り
• 早く考え方の違いを表に出し
• 早く共通認識を持つ

このプロセスそのものです。

考え方の違いを、
プロジェクトの終盤ではなく、
できるだけ早い段階で確認できれば、状況は大きく変わります。

  • 不要な機能は自然と減り
  • 誤った仮説は早く捨てられ
  • 時間とコストは、目に見えて削減されます。

そして、何より大きな変化が生まれます。

「なぜこうなったのか」という対立ではなく、
「では、こう変えてみましょう」という建設的な対話が始まります。

これこそが、
MVPを起点とした開発がもたらす、
最大の価値です。


この話は、IT企業だけの問題でしょうか。

いいえ、決してそうではありません。

  • 製造業でも
  • 物流・流通の現場でも
  • サービス・プラットフォームビジネスでも
  • さらには社内システムの改善においても

「考え方は間違っていなかったはずなのに、
出来上がった結果は想像と違っていた」
という経験は、
開発に関わったことのある方であれば、
一度は心当たりがあるはずです。

迅速開発は、
この問題を個人の能力不足だとは考えていません。

私たちは、
これは構造の問題であり、
その構造を変えるための最も現実的な方法が、

素早く対話できる成果物=MVPを作ること

だと考えています。


迅速開発は、何が違うのか

迅速開発は、
最初から完璧な最終成果物を約束しません。

その代わりに、
開発のプロセスの中でもっとも重要だと考える価値を、ここに置いています。

  • すぐに議論できる「実体」を作ること
  • 考え方の違いを、隠さず表に出すこと
  • 失敗のコストが小さいうちに、方向を修正すること

このプロセスを通じて、
開発を単なる「制作」ではなく、
認識を揃え、合意をつくっていくための工程へと変えていきます。

迅速開発が考える「速い開発」とは、
スピードを上げることではありません。

関わる人たちが、
より早く同じイメージを共有できる状態をつくること。
それこそが、私たちの言う「速さ」です。


今、皆さまのプロジェクトはどこにありますか。

  • まだ言葉だけで議論が続いていませんか。
  • 文書は多いものの、同じイメージを共有できているか不安でしょうか。
  • 「これは後で直せばいい」という言葉が、何度も出ていませんか。

もしそうであれば、
いま本当に必要なのは、
これ以上の会議でも、
さらに分厚い資料でもないかもしれません。

一緒に机の上に置いて話せる、最初の成果物。

それが、今必要なのではないでしょうか。


迅速開発は、皆さまの悩みに寄り添います

変化のスピードが速い市場、
迅速な判断が求められる経営の現場で、

迅速開発は、
開発の悩みを一人で抱え込まず、
現実的な形に整理するためのパートナーです。

「我が社の状況では、どのように進めるのがよいのか。」

その問いから始めていただいて構いません。

今すぐ無料相談をお申し込みください。

無料相談お申し込み

皆さまの状況に合わせて、
最も現実的な「最初のMVP」から、
一緒に考えていきます。

あたたかいデジタル、迅速開発が、
皆さまの次の選択に支えます。

あたたかいデジタル-迅速開発-MVP
迅速開発とは。